アイヴィーズ『Maybe Tomorrow』


バッドフィンガーの前身バンドの69年リリース作品。バッドフィンガーの1stと曲が被っているのでこれまで手を伸ばして来ませんでしたが、最近またバッドフィンガー熱が再燃して来ているので、改めて聴いてみることにしました。

 

曲によってプロデューサーが異なっていたり、発表時期もまちまちだったりと、若干の寄せ集め感はあるものの、原石としては充分な出来栄え。でもこれはリニューアルしてよかったかな。

 

トニー・ヴィスコンティも関わっていたんですね。これは知りませんでした。ビートルズのアップル・レーベルからデビューするまでの間にも紆余曲折があったようですが、最初にバッドフィンガーを聴いた時の「薄味のビートルズ」感がやはり忘れられません。しかしそこがいい。時期的にビートルズ解散後にその不在を埋めてくれる存在でもあったようで、確かに全盛期の作品はとても勢いがあっていい。

 

でもそのクオリティが初期や後期も一貫しているかというとそうでもないのが悲しいところで、かつ商業的成功や充分なプロモーションがなされなかったことで中心メンバーの2名が自ら命を絶ってしまうという悲しい末路を辿るバンドでもあります。だからこそエヴァーグリーンになっている側面も否めないんですが、端的に楽曲はいいので、そこを素直に楽しむのが正当な聴き方でしょう。