2000年代の鈴木惣一朗さんのディスクガイド、3枚目はヴィンセント・ギャロの作品です。何となく名前を知っていたのは、その後の映画俳優としての活躍があったからで、直接の接点はこれまでありませんでした。
それにしても静かな音楽です。確かに初期プログレ、シド・バレットの作品のような趣があります。必要最低限の音しか鳴っていない。とても静かな内面的な音楽のように聴こえます。
リリースされたのは2001年ですが、2000年代の初頭というのはこんなにも静かな時代だったのか。ちょっと思い出せませんが、ひとつのヒントとしてはコーネリアスの『point』がリリースされた年だということ。ビョークも『ヴェスパタイン』をリリースして、世間にエレクトロニカの静かなサウンドが広がっていた年。そう考えると、水面下で起こっていたことは、世紀が変わって静かな音楽が浸透しつつあった、ということなのかもしれません。