ポール・サイモン『Surprise』

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これは不思議な作品ですね。06年にポール・サイモンブライアン・イーノと組んでリリースした10作目。実はしばらく前からチェックしていました。

きっかけはキリンジインターネットラジオ番組で本作の収録作がかかったこと。どの曲だったかは記憶にありませんが、ポール・サイモンだとは気付かずに耳を捕えました。それ以降ずっと気になっていたんですが、先日も高橋幸宏のEveryday Musicでこの作品からの曲がかかって、やはり「こっち側」の音楽だなと感じていたところに中古屋で発見した、という次第です。

ポール・サイモンは最近夫婦喧嘩で捕まったりしていますが、意外と新しいことにどんどん挑戦していく人なんですね。キャリアの中でもこの作品は異質だと思いますが、歌とエレクトロニックなビートが自然に調和していて、まさに最近の高橋幸宏のような質感があります。エレクトロニクスのグルーヴがポール・サイモンの歌に付加されることで楽曲にスピード感が出て、どの曲も非常にエッジが立っています。でもベースはポップスなので聴きやすい。この辺のバランス感覚は誰にでもできることではないと思うんですが、軽くやってのけている。ブライアン・イーノは様々なアーティストとコラボレーションを行っていますが、この作品もかなり高いところで融合している好例ではないかと思います。

ポール・サイモンの音楽としては王道ではないのかもしれませんが、作品としてはとても魅力的なものだと思います。別の分野から注目される不思議な立ち位置のタイトルとして今後も聴かれ続けるのではないでしょうか。