
84年リリース作品。大貫妙子さんの聴き直しもここで終了です。
本作は同名の映像作品のサントラという位置付けですが、ご本人が映画音楽を作りたい、と希望されて、結果的に環境映像に対するサントラとして出来上がった作品です。
従って純粋な作品としては若干趣が異なりますが、並んでいる楽曲はジャン・ミュジーとのフランス録音の再演や毎回関わっている坂本龍一による編曲など、バラエティに富んでいて、聴いていて飽きがこない。楽曲は再演も多いですが、基本的に皆いい曲なので、とても心地よく聴き進めることができます。
今回、『ミニヨン』以降の作品はおよそ15年ぶりくらいにきちんと向き合いましたが、やはりどの作品もとても良かった。何より曲がいい。そして、編曲者がどんどん変わることで、聴いている方も美術館や博物館で作品を眺めているような楽しさが味わえる作品となっていました。
そんな中でも『クリシェ』の傑作度合いが群を抜いていましたが、初期2枚『グレイ・スカイズ』と『SUNSHOWER』が改めて脚光を浴びるのも理解できるような気がします。ここにはやはり初期衝動ならではの勢いや青春の煌めきがパッケージされていて、瑞々しい上に演奏力のあるミュージシャンの参加によるグルーヴもある。「もう一度あの頃のような作品を作って欲しい」と坂本龍一がサウンドストリートで大貫妙子に話していたのを思い出しますが、皆初期の頃の音楽が大好きなんですね。それが今現在また注目されているのはとても嬉しい出来事だと思います。
今年、大貫妙子がフジロックに出演した際に、坂本龍一がトンボになって現れてマイクにとまった、という話がラジオでよく話されています。とても微笑ましいエピソードですが、たまたま今、毎週大貫さんの声がラジオで聴けるので、こうしたお話が身近に感じられる。これはとても貴重な時間を過ごせていると感じながら日々を過ごしています。