2枚目は今回の目玉の94年山下達郎によるシュガー・ベイブ再現ライブです。こんな素晴らしいライブが30年前に行われていたなんて。そしてこの臨場感のある音。まるで最近行われたライブのようです。
シュガー・ベイブの曲だけではなく、当時のレパートリーだった大滝詠一「指切り」のカバーや、後に山下達郎の1stに収録される「WINDY LADY」、ナイアガラトライアングルに収録される「ドリーミング・デイ」「パレード」、伊藤銀次のソロアルバムに収録される「こぬか雨」などといった楽曲も演奏されて、さながらこちらもお祭りのようですが、演奏はタイトで上品な趣です。
惜しむらくは大貫妙子の不在で、こちらは90年代の大貫妙子のライブ盤に収録されていますが、既に廃盤で入手不可能。先日山下達郎のラジオではデュエット曲の「すてきなメロディー」もオンエアされましたが、やはりここはこのコンサートの完全版をあらためてパッケージして世に出すべきでしょう。そのくらい価値のある音源だと思います。
しかしながら、今こうして50周年のタイミングで過去の資産が次々とパッケージされていることにはやはり感謝しなければいけないですし、端的にリスナーは提示された記録を追体験する時間を費やしていくのが筋だと思います。そんな硬い話でもないですが、とても良い音源なので、これからのリスニング体験が楽しみになる。
かつて友人がシュガー・ベイブの『SONGS』を手にした際に、毎日家に帰って聴くのが楽しみだった、と語っていましたが、その熱量が一番大事なように思います。