あるとは思っていなかったシュガー・ベイブの50周年記念盤。40周年で最後のつもりでいましたが、今回は山下達郎による再現ライブとの2枚組ということで、これはやはり手に取らずにはいられませんでした。
10年前と違うのは、その間に山下達郎と大貫妙子のソロ作品に向き合う時間がとれたこと。未だコンサートには行けておりませんが、じっくりと過去作品に触れることができたので、改めてシュガー・ベイブの作品にも新鮮味を持って触れることができました。
今現在はたまたま山下達郎と大貫妙子がそれぞれラジオ番組を持っていて、各々のシュガー・ベイブに対する思いを語ってくれている環境にあります。非常にラッキーなタイミングで50周年が訪れたので、益々この作品への憧憬が深まっていきますね。
1枚目はオリジナル作品のリマスターと過去に収録されたボーナストラックをまとめた内容ですが、トータルで78分もあるので、もはや歴史を総括するような内容となっています。それにしても70年代の録音とは思えない迫力で迫ってくる音なので、今でも色褪せない。加えて「SUGAR」のようなナイアガラ祭りのような怪しげな音源に変化しているトラックもあって、聴こえてくる音がどんどん解像度を上げて変わってきている。
ボーナストラックは『SONGS』以前と以後、のような構成になっていて、このアルバムが時代に刻印されたものではなく時間の流れの一過程にあることを証明する記録となっています。大貫妙子のラジオでの話を聞いていると、山下達郎はオールディーズやビーチ・ボーイズのような音楽を好んでいたが、自分はフィフス・アベニュー・バンドのようなおしゃれな音楽をやりたかった、というような話をしていて、当時から同床異夢の側面も孕んでいたことがわかります。
そんな風にこのアルバムを読み解くとすると、A面は比較的ソロ傾向が強い曲を集めているのに対して、B面は二人のデュエット曲などもあり、より一層バンドとしての融合がなされている印象を持ちます。そしてラストはお祭りで締める。
更に、ボーナストラックの宮城での音源は、その後のソロ作品の楽曲も演奏されていて、生まれることのなかった2ndにも思いを馳せることができる。不遇な運命を辿った割には賞味期限が異様に長いアルバムとなっているのが特徴的です。半世紀が過ぎているというのが凄まじいですね。