YMOAGE2

YMOAGEも歳をとった。知人の5歳ほど年上の人は、YMOを語る時「青春」を口にする。これはこれでサルトルいうところの「嘔吐」なのだが、往年のディスコブームを考えると分からなくもない。当時大学生くらいなのだから。

一方で、一回りも違う世代にも熱心なファンが多い。HASYMOパシフィコ横浜でも感じたが、会場には新旧世代入り混じったファンが溢れ、特に若者の多さが目を引いた。往年のファンがYMOシャツをまとって集結している姿はそれに比べるといかにも滑稽であり、「ああ、この人たちが再結成を遅らせたんだな」と思う。要は必要以上の伝説化である。

テクノドンの再生に本人達が嫌悪感を示したのは、恐らく広告代理店的な伝説化に参ってしまったんだと思う。純粋に音楽なのであるから、マーケティングする必要は本来はないはず。今回の自然さは加齢に加えて周囲の気遣いもあることだろう。KIRINラガーに端を発した今回の一連の動きは、最終的に静かな音楽として表現され、8/22のニューシングルの発売へと至る。

パシフィコ横浜の白眉は最初の2曲だと思う。以心電信とスポーツマンの連続技は涙モノであり、今後の持続性に期待は尽きない。

ティンパン、久保田麻琴、更に東京シャイネス、スケッチショウ、ソナー2004と来て、果てはコーネリアスとの邂逅まで。ここ最近の動きは静かに静かに進んでいる。それは恐らく時代の空気であり、21世紀のクールな雰囲気。実はムーンライダーズの30周年とも微妙にリンクしている。ZAPPA同様、死期が近いことを予感させる。

YMOAGEは現在のところ終わることなく続いているが、死して尚続くとすればビートルズ並だ。果たしてどうなる?