90年代の高橋幸宏はずっとミッシングリンクだったので聴いてない作品が多いんですが、これは97年にリリースされたスティーヴ・ジャンセンとのユニットの作品。『Stay Close』みたいな音を想像していましたが、時期が違うのでもう少し繊細、かつリズミカルで落ち着いたいい作品でした。
コンピシオ時代の高橋幸宏は本人も語っている通りどこか中途半端な感覚で漂っていたようですが、この作品は相対化できる相手がいることも手伝って輪郭のはっきりした作品に仕上がっています。流して聴くようなタイプの音楽、といえばそれまでですが、音はとても心地良くて、リズムにこだわる両ドラマーの微細なセンスが漲っています。
これもEveryday MusicでJAPAN特集があった際に、メンバーのソロ関連の楽曲がかかって「そろそろデヴィッド・シルヴィアン以外のソロ系もいってみるかな」と思っていたところにサクッと格安で置いてあったので衝動的に手にしました。不思議と聴く前からクオリティには安心感がありましたね。
スケッチショウ前夜ということもあり、高橋幸宏も大分復活してきていて、持ち前の神経質な音が戻ってきています。前後にYMO復活を挟んでの作品なので、それなりの刺激を内包しているのは確か。しかしあくまで静かに佇んでいるような音楽です。
Everyday Musicでは高橋幸宏がスティーヴ・ジャンセンのドラムをよく解説してくれるんですが、レイン・トゥリー・クロウの『Blackwater』やナイン・ホーシズの『Get The Hell Out』なんかでの緻密な構築技を感情たっぷりに褒めちぎる様子はとても微笑ましく、また楽曲への興味をそそられる内容でした。今こうして80年代に端を発する文化を振り返る番組というのはあれしか存在しないんじゃないでしょうか。今晩も放送されますが、毎週聴き逃せません。