サニーデイ・サービス『本日は晴天なり』

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こちらも買いそびれていたサニーデイ・サービスの新譜。まさかの再結成だった。

1曲目から不協和音が妙にひっかかる『恋人たち』。2曲目の『Somewhere In My Heart』はサニーデイとしか言えない不思議な青さが漂う。

彼等の解散直前のアルバム『LOVE ALBUM』は好きな作品だった。『魔法』なんてほんとにいい曲で、単なるはっぴいえんどフォロワーから完全に脱皮したことを実感した矢先の解散。その後の曽我部恵一の活発なソロ活動は周知の事実だが、何故ここで再結成?と疑問が離れなかった。恐らく気分みたいなものなんだろうし、本人が楽しんでやっているのが伝わってくるので安心して聴ける。曽我部恵一のソロ『ラブシティ』もいい曲が多いアルバムだったが、この作品も曲単位でいいものが多い印象だ。

曽我部恵一の実力を思い知ったのはムーンライダーズの30周年記念コンサートでの『スカンピン』のカバーだった。何て説得力のある歌声を聴かせる人なんだろう、と認識を新たにしたが、その後鈴木慶一との邂逅が始まったのは偶然から必然へと変わった。来年出る鈴木慶一の新作はまたもや曽我部恵一との共同作業で、もはや往年の鈴木さえ子とのpsycho perchesをも彷彿とさせる定番具合だ。

しかしここで聴こえてくる音はまぎれもなくサニーデイの表情をしている。恐らくは稚拙な感じがそうさせているんだと思うが、90年代にレイドバックした感覚ではなくきちんと今の音を出しているのに好感を持った。

このアルバムで2010年を終われることに妙な安心感を覚える。辛いことが多い年だったが、来年はまず間違いなくいい年になるような予感がする。それはきっと気のせいではないだろう。