ジョニ・ミッチェル『コート・アンド・スパーク』

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遂に出てしまったジョニ・ミッチェル怒濤の再発。財政的にこれを恐れていたが出てしまったものは仕方がない。勇気を振り絞って後半の5作品からまずは手を出した。全部はいっぺんに買えないなあ。初期5枚は来月の楽しみにとっておこう。

74年リリースの本作から『ミンガス』まで繋がるジャズの時代の作品群はどれも傑作揃いで一瞬たりとも聴き逃せないが、中でもこの作品は『Help Me』の大ヒットを含む最初に山の頂に立ったタイトルとして素通り厳禁のアルバムだ。

 

実はジョニ・ミッチェルの初体験はこの後聴く『ドンファンのじゃじゃ馬娘』収録の『Talk To Me』だったりするが、とにかくギターのストロークに合わせて言葉数多めに畳み掛けていくスタイルに衝撃を受けて以来、自分にSSW系の導入部を作ってくれたことには感謝している。それまでフュージョンというものに若干の偏見を持っていたが、後に参加してくるジャコ・パストリアスに顕著な演奏力にはやっぱり降参だし、単純に聴いていて気持ちがいい。

それにしてもこの人は天才的。なんだかんだいって未だに活動を続けているところが嬉しいし、後に与えている影響も巨大だ。あまりに独特過ぎて直系のフォロワーがいないが、デヴィッド・シルヴィアンやプリンスといった意外なアーティストが敬意を表するところも不思議な立ち位置。

でもって音の方はこれリマスターなの?SHM-CDではあるので音はまろやかで確かに聴きやすいが、驚くような変化は見出せなかった。ラストの『Twisted』あたりのボーカルの生々しさは多少あるかな。それでもエンボス仕様の見開きジャケットの質感にはノックアウトだし、出してくれてありがたいのは言うまでもない。財布は寂しいが、こいつも一生モンとして棚に保存しました。