トッド・ラングレン『TODD~未来から来たトッド2010ライヴ』

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物凄いボリュームの『TODD』再演ライブ。DVDとCDの2枚組で、かつインタビューが80分近くも入っています。これはお買い得だわ。

近年トッドは過去のアルバムを全曲演奏するライブを盛んにやっていて、『魔法使いは真実のスター』からこの『TODD』、そして果ては『ヒーリング』までやっていますが、今回はその『TODD』の映像版です。何と来月は『ヒーリング』も出てしまうという。ここへ来て大サービスですが特に『TODD』は私も大好きなアルバムなので、背筋に寒気を感じながら鑑賞しました。かっこいいですよね。憂いもあって。

『I Think You Know』『Izzat Love?』『Useless Begging』がライブで観れるだけでももうけモンですが、『The Sparkle of Life』ではじめの方のギターかと思っていたフレーズを口で歌ってるのには驚かされました。ボコーダーを使ってノイズを出してたとは!もうこれだけで卒倒。その後も淡々と続く演奏は若干のステージの低予算な感じが気になる他はほぼ完璧で、ラストの『Son of 1984』での観客の大合唱で終わるエンディングも感動的。

それに加えて一連の活動を振り返るインタビュー映像は公開式になっていて、ほとんど書籍の『スタジオ黄金狂時代』を本人のコメントで辿るかのような内容。ローラ・ニーロからバッドフィンガーからフランク・ザッパまで、様々な人の名前が出てきて非常にリアルかつ楽しい内容です。ローラ・ニーロの同性愛の話やらブライアン・ウィルソンがハイだった頃に電話がかかってきて一緒にコンサートに出かけたエピソード等、興味深くてかつ笑っちゃう話が満載。ジャニス・ジョプリンの話なんかも出てきて本当に時代の生き証人みたいな感じです。

プレイヤーはカシム・サルトンやプレイリー・プリンス、グレッグ・ホークスといった近年活動を一緒にしているメンバーで、皆楽しそうに演奏していて微笑ましい限り。そこから繰り出される音が74年のメロディなんだからたまんないですね。トッドは来年には新作をまた出すそうですが、ここ最近の諸作が今ひとつなので期待は最小限にして待つことにします。その前に『ヒーリング』の再演映像が早速来月に楽しめる訳だしね。

それにしてもお腹一杯で、非常に得をした気分になるタイトルでした。