くるり『アンテナ』

f:id:tyunne:20181028173754j:plain

くるりは『THE WORLD IS MINE』しか持っていないという不届きものですが、レンタル屋に結構揃っていたのと、先日たまたま休日に見ていた電車の番組でバックにかかっていたのがきっかけでちょっと聴いてみるか、という気になりました。この作品はその『THE WORLD IS MINE』の次作にあたるアルバムです。

そもそもくるりの歴史の中で『THE WORLD IS MINE』が特殊な作品だったので、次作でロックに回帰したのは正常な進化であり、基本である岸田繁のポップなメロディとギター音の組み合わせは予測通りでした。もっと騒がしいかと思っていましたが意外と落ち着いている印象。

くるりに対する第一印象はまとも過ぎて食い足りないというものでした。ひっかかりがないように思えたんですね。とはいえ基本的な旋律に王道さがあるため悪いはずはないと感じていました。そのあたりも予想の範疇を出ていない作りです。王道の何が悪い、という感じでしょうか。ナンバーガールのようなヒリヒリした感触ではなくあくまで基本に忠実。かつ自信たっぷりなところも良いですね。

結構アルバムによって振幅が激しいという印象もあります。コンセプトによって音像が左右されるため当然かもしれませんがコアメンバー以外はメンバーがころころ変わるのも特徴的です。激情を内に秘めた謙虚な面持ち。リーダーの岸田繁にはそんな側面もあるように思います。

意外と楽曲の長さもコンパクト。