高橋幸宏『IT'S GONNA WORK OUT 〜LIVE 82-84〜』disc 3 tIME and pLACE


3枚目はライブ盤として当時もリリースされた作品のリマスターです。時期的には83年のライブですので、YMOの『浮気なぼくら』の後。すなわち日本語ポップスが前景化して来ている頃となります。従ってこの作品でも思い切りその傾向が表面化している。

 

批評でよく使われる「ウェルメイド」という単語は嫌いな言葉のひとつですが、ここではまさにその言葉がしっくりくるくらい、結構な割合で甘い世界観が提示されています。ここがTENT時代により鮮明になっていって、ちょっとついていけないところまで行ってしまったのが最初に高橋幸宏作品から個人的に離脱した原因でした。しかし、後になって見直していく心痛期に繋がってはいくんですが。

 

音がフラット、平面的、奥行きがない、という印象を持ちました。しかしそれはマイナスではなく、総体として耳に迫ってくる感覚があって、ライブ作品としては迫力があります。それにしても歓声がすごい。この時期のYMOは女性のためのものだった。JAPANから直結している感じですね。男性はその後しつこく聴き続けるので、後から効いてくるイメージです。