山下達郎『JOY』disc 2

ドラム青山純、ベース伊藤広規。80年代のこのライブ集で一貫しているメンバーがこの2名ですが、これがこのライブ集を編んだ契機になっていて、この時期のライブに手応えを感じていたんだと思います。

 

70年代には『IT'S A POPPIN' TIME』というライブ盤があって、坂本龍一村上ポンタ秀一などといった手練れのミュージシャンで行われたライブをパッケージ化していますが、恐らくはそれ以来の手応えがこの時期にもあった。それを集めたのがこのライブ集なんでしょう。

 

山下達郎はミュージシャンというよりプロデューサーの視点が上回っていて、自らの声も含めてひとつのパーツとしてその目に映っている。そこから全体を俯瞰した時にどうしたら最良のクオリティをリスナーに届けられるか、あるいは自分の描く世界観がどこまで完璧に近く表現できるか、そんなことを常々考えている。

 

そういった意味では90年代以降の活動の中で、CDなどのパッケージメディアが売れなくなってきた昨今、ライブにビジネスの軸を合わせて活動が活発化した結果、多くのライブ音源が溜まってきており、一部がラジオ番組でオンエアされ続けました。それが『JOY2』になるんだとしたら、やはりそれは楽しみです。その際にもバンドメンバーが鍵になるのではないでしょうか。

 

それにしてもこのライブ盤はいいですね。「DOWN TOWN」のイントロが鳴った時の観客の歓声が上がった瞬間の興奮が伝わってきます。「おおっ、この曲をやるのか!」みたいな反応です。こんな感じでベスト盤的な選曲が続いていく目眩く作品になっていると思います。