鈴木さえ子『スタジオ・ロマンチスト』

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87年リリースの4作目。実質活動期のラスト・アルバムと考えていいだろう。アンディ・パートリッジにプロデュースを依頼した、本人たちにとっても自分にとっても夢のようなアルバム。実現した当時は狂喜乱舞したものだ。

実際アンディが関わったのは一部の曲のみだが、当時XTCの未発表曲だった『Happy Families』をカバーしていて周囲を唸らせた。

 

サンダークラップ・ニューマンの『Something In The Air』をアンディのプロデュースでカバーし、『スカイラーキング』の『1000 Umbrella』を気に入ってストリングス・アレンジをデイヴ・グレゴリーに依頼したという離れ業を成し遂げたことも歴史に残る事実。間奏部にデュークスの『My Love Explodes』のラストにある音を持ってくるあたりニヤリとさせられた。

確か当時は「東京マザーズ」というバンド名でライブをしていて、本作にある『Freak In』みたいな演奏を繰り広げていたと思うが、これは勿論フランク・ザッパの『Freak Out』のもじりだろう。実際演奏はそんな感じだ。

『I Wish It Could Be Christmas Everyday』のセルフ・カバーでは同名の有名曲ロイ・ウッドの作品をたまたま録音したスタジオで、当時のエンジニアがたまたま担当したという奇跡的な出来事にも遭遇したという逸話も残した。

 

ということでこの作品と前作の『緑の法則』は名盤な訳だが一向にリマスター再発されない。仕方なく今回600円くらいで中古で入手したが、いずれきちんとした再発をして欲しいアルバムだ。