73年リリース。このアルバムと『Wall And Bridges』は過渡期の作品として無視されることが多いが、そうは言ってもジョン・レノンなので悪い訳はない。ということで初聴きだったが、ポップで佳作だと思う。
『あいすません』という曲があるが、何とか言う芸人が「あ~いすいませ~ん」みたいに言っていたのはここから来ているのかな。『Bring On The Lucie』なんかの冒頭の掛け声にはハッとさせられるし、『Out The Blue』なんかも普通にいい曲。激しさが後退した分だけメロディが際立つ作品集だ。ジョン・レノンには必要以上のメッセージ性やコンセプトが求められたと思うので、こうした何でもないアルバムはそれだけで地味に映っちゃうんだろうが、そいつは贅沢というもの。紙ジャケ再発された時に会社の同期が購入を検討していて、「何買うの?」と聞いたら「買うなら全部だな・・」と呟いていたのを思い出した。立派な男だ。それでこそジョン・レノン。なめてはいけない。
『I Know』は『I've Gotta Feeling』みたいなリフで和むが、アルバム全体がソフトで安心感がある。常にとんがってなくてもいいのよ、別にね。『Meat City』は少し展開が凝っているが。
ボーナストラックのHome Demoはすぐ側でアコギを弾いて歌ってもらっているようで臨場感がある。いいですよね、普通に。