85年リリースのトッド・ラングレンプロデュース作。初めて聴きましたがこれは最高ですね。超オーバー・プロデュースでまるでユートピアのアルバムのようです。こんなに良かったとは。
85年ですからユートピアでいうと『POV』、トッドでいうと『ア・カペラ』の頃ですが、ほとんど『POV』です。元々チューブスはプロデューサーによって音がコロコロ変わるグループだったようですので個性が薄いのかもしれませんが、ここまであからさまにユートピアテイストだと申し訳ありませんがニンマリしてしまいます。これは確実にトッド好きのマストアイテムではないでしょうか。今回ボーナストラックも入って新装されましたが、この機会に聴けてよかった。
美メロが多いですが、ギターサウンドも多くて、2曲目なんか『ハンマー・イン・マイ・ハート』みたいです。複数の曲をトッドが共作していて、その辺りなんかまさにトッド節。後期ユートピアの産業ロック路線が気に入らない人にはイマイチかもしれませんが、自分は結構スッと耳に入ってきます。トッドのプロデュースはコーラスが綺麗ですよね。翌年86年はXTCの『スカイラーキング』のリリースですから音の感触は推して知るべしですが、よりロック色が濃いかな。ロックつーても産業ロックですが。表題曲でのポリリズム導入も彩り以上のものではなくて、この辺の中途半端加減も行き過ぎないでいい感じです。いいんですよポップスはこの程度で。
後半ノンストップで曲が繋がっていくのにはちょっと驚かされました。この辺はやるなあ。後に『ニアリー・ヒューマン』でセルフカバーする『Feel It』も入っています。
それにしても『リモート・コントロール』も聴きたくなりました。トッドにプロデュースされたグループが再度プロデュースを依頼するケースは珍しいそうなんですが、チューブスのメンバーがトッドを好きだったみたいですね。この辺は『スタジオ黄金狂時代』にメンバーのインタビューと共に収録されていますが、売れなくてもいいから実験作を作りたかったようです。中盤その雰囲気が出てるかな。ちょっと『Swing to The Right』みたいですね。
ドラムのプレイリー・プリンスは先の『TODD』再現ライブでも一緒でしたし、ニュー・カーズでも一緒でしたんで、この辺は未だに仲間なんですね。そういう意味でもこのタイミングで発見できて良かった。リイシュー感謝です。