マイク・ケネリー『Wing Beat Fantastic』

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XTCのアンディ・パートリッジとの共作による新作!全12曲中8曲で共作ということで、これは見逃せないリリースでした。音の方は相変わらずの複雑さで、一度聴いただけではなかなか分からないというXTCの新譜のような趣です。アンディ・パートリッジはつくづく天才だと新作が出る度に思いますが、この作品でも存分にその魅力が味わえます。

マイク・ケネリーという人はフランク・ザッパの後期のバンドで活躍したギタリストで、その卓越したテクニックには定評のあった人です。何度かソロアルバムも出していますが、あまりに凝り過ぎな風情に持っていたCDは手放した記憶があります。

で、この人はXTCの強烈なファンでもあったようで、今回念願叶って共作が実現したようですね。『オレンジズ&レモンズ』のレコーディングを観に行ったのが最初の出会いのようですので、最早20年以上前ということになります。

ザッパ直系らしく、時折挟まれる小品はキャプテン・ビーフハートの作品のようで、前衛的ながらもポップな佇まいで全体を包み込む音楽が奏でられています。アンディ・パートリッジとの共作曲でもとにかくイントロが複雑で、一筋縄でいかない楽曲が並んでいます。『ワンダー・アニュアル』のようだと評している方がおりましたが、確かにそんな感じですね。勢いでというよりもじっくりと迫ってくる。それにしても一度聴いただけでは理解できない。いくつも謎が隠されているような気がします。そこがXTCの魅力でもあったので、これは純粋にアンディ・パートリッジの最新作として楽しむべき作品なんでしょうね。

XTCだと無条件に体が反応してしまうので、この作品にもしばらく没頭できそうです。