スクイーズ『Some Fantastic Place』

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非常に楽曲が粒揃いな93年作。ここ最近聴き返す機会が多くて、その魅力に今更ながら気付かされています。

何といってもポール・キャラックの復活とアトラクションズのピート・トーマスの参加、という点が話題性を上げていますが、やはり魅力は楽曲。冒頭からポップ度満開で飛ばしていきます。かつ成熟しているところがいい。

「Tempted」パート2みたいな「Loving You Tonight」なんかもあるし「It's Over」みたいな分かりやすいポップスもある。演奏もタイトでボーカルも艶っぽくて申し分ないと思います。やはり『Frank』には一歩譲るものの、ここでのスクイーズは自然体で正統派のポップスを捻りを忍ばせつつ奏でる一級品のバンドとなっています。リフの裏に隠れるベースラインが活かしているのが共通点かな。

ここでの布陣も長続きしないところがある意味スクイーズらしいとも言えますが、長い活動期間の中で後期にある程度きちんとした作品を残せているところがこのバンドの底力を示していると思います。一聴の価値あり。この渋さが分かれば英国ポップは聴く側にとって一生ものとなるでしょう。