スクイーズというバンドは時代とはリンクしない側面をもつ独特の存在だと思います。汎用的なメロディの良さ、カテゴライズしにくい時代を超えたポップな佇まい、時代の先端といった要素とは無縁なエヴァーグリーンな存在感、といった魅力を有していて、バンドというより大学のサークルのように何となく続いていく。そうした気負いのなさが長続きしている要因なのではないでしょうか。
とはいえ一旦解散して再結成したのがこのアルバムで、キャリアでは唯一時代の音を奏でている作品です。そこから浮き上がって来るのが時代性かというとそんなことはなく、あくまで印象に残るのはそのメロディアスな雰囲気とボーカルの甘酸っぱいテイストです。時代を超える名作とは言い難いですが、スクイーズの発揮する独特の香りを振りまくような佳作に仕上がっています。この後『バビロン・アンド・オン』で再度ブレイクを果たす前哨戦といったような復帰作です。