クレイジーケンバンド『MINT CONDITION』

f:id:tyunne:20181109190142j:plain

CKBの作品はどれも大作で、しかもクオリティが一貫して良い、という普通ではあり得ない状態となっているので、基本どの作品を聴いても安心できるところがあるんですが、2010年にリリースされた本作もそれは変わりませんでした。逆に言ってしまうと、新作が出たとしてもいつ聴いても良い、ということになっていて、聴くのにインターバルが生じてしまう。熱心な聴き手はそうではないでしょうが、自分のような不真面目な聴き手だと、新作が出てすぐにチェック、という聴き方をしなくなってしまいます。それが少し失礼かな、と思ってしまいます。

とても生真面目に作っていて、かつ表面的にはグルーヴィーで猥雑。本作の場合、「1107」というキラーチューンもあって、耳を捕らえるキャッチーな楽曲と、まるでピチカート・ファイヴを聴いているかのような洒落たソウルに通じる確かな演奏に、前半は納得の嵐。

しかしながら後半に猥雑なアジアンテイスト、歌謡の世界が爆発し始めて、ならではの楽曲が展開していく。最早定番を多く抱えてマンネリズム紙一重になりながらも、勢いと圧倒的な創作意欲で寄り切ってしまうパワーに聴く側はひれ伏すのみとなってしまいます。

付属のDVDでのライブも本当に楽しそうで、この安定した活動が永遠に続いていくことを願って止まない、という感覚になっていきます。本当に凄いバンドですね。