ジョン・レノン生前唯一のベスト盤、ということで75年リリースのこの作品もずっと中古屋を探していました。案外とないので手にするのに時間がかかりましたが、改めて聴いてみて何か発見があるかというとそうでもありません。
ずっと思っていましたが、ソロになってからのジョン・レノンというのは然程ポップではない。ポール・マッカートニーに比べて、派手な言動とロックの象徴的な扱いで持ち上げられてはいたものの、「イマジン」以外は本作においてもちょっと今ひとつな感じがします。
大衆向けではなく、最早個人的な作業として音楽を奏でていた。あるいは元々あった無骨な側面がソロになって強調された、等と色々考えてはみますが、要するに純粋すぎてエンターテナーには徹していなかった、という話なのかもしれません。ジョンの楽曲にはプラスαが必要だった。
その証拠に、死後ビートルズの3人が集まって新録音を行った「Free As A Bird」や「Real Love」のような楽曲は、他の3人が色付けすることによってよりポップになっている。一概に言えませんが、何となくそんな気がしてなりません。解説に収録曲のチャートアクションが記載されていますが、どれもあまり良い実績ではないのがそれを表しているように思います。