ゴンチチ『PHYSICS』

f:id:tyunne:20210429080311j:plain


85年リリースのゴンチチ3rdアルバム。これで初期ゴンチチはコンプリートになったと思います。いくつかの楽曲は89年にリリースされたベスト盤のひとつ『Spirit of Gontiti』で聴いたことのある曲でした。

 

初期の音源にお馴染みの電子音をバックにギターの演奏が奏でられています。サイズの松浦雅也やチャクラの板倉文といった名前がクレジットされていて、以前も書いたようにバックは豪華な布陣なんですが、本質はおそらくここにはない。やはり主役はギターです。

 

この作品には2曲ほどボーカルを自らとった楽曲も収録されていますが、この辺りはまだ方向性を模索している節があります。しかしやはり説得力があるのは「ドイツ銀行」や「このうえない困りもの」といった楽曲での迫力のあるゴンザレス三上のギター。ここでの演奏がやっぱり中心で、その後もギターの演奏自体にクローズアップした方向性に舵を切って行ったのは正解だったと思います。

 

試行錯誤の上にたどり着いた独自性はこのユニットを孤高のものとしました。だからきっと活動が長く続いているんでしょう。ギターの音だけで別世界に聴くものを誘うという、シンプルながら不思議な音楽です。