前作『cherish』でバンド形態を終了し、堀込高樹のソロユニットとなったKIRINJIのニューシングルがリリースされました。漢字の読み方が何度見ても分かりませんでしたが、「はぜる」と読むようです。
バンド形態の終焉は『cherish』で行くところまで行ってしまった感があったので、何となく想像はつきました。ほとんどソロのような、クールなソウルミュージックを極めてしまった作品でしたので、果たしてこの後どこに行くんだろう、と少し心配していた。そこに飛び込んできたバンド形態終了のニュース。ただ、オリジナル・ラブもコーネリアスもある意味同じようなソロのユニットですので、前例がない訳でもありません。
本作にも収録されている「再会」という曲が先に先行配信されましたが、この曲も今回じっくりと聴けました。これは再度名刺がわりで差し出された原点回帰の作品のように聴こえてとても良かった。バンド形態を開始した『11』の時の「進水式」のような爽快な1曲。『cherish』で突き詰めた隙のない音楽から、少しだけまた俗世間に降りてきてくれたような、陸へ上がって来たような、そんな予感を感じさせます。
「爆ぜる心臓」の方は80年代キング・クリムゾンのようなロック・テイストで迫って来ますが、ここは映画の主題歌というオーダーに応じた派手さ加減が効いているようにも感じます。いずれにせよ、ソロユニットとなってむしろバンド感が増すような、不思議な展開を見せている。しかし、それでいいと思います。
堀込高樹はドナルド・フェイゲンのようになって来ましたね。