57年録音の作品。アート・ペッパーの音は西海岸らしい爽やかなもので、ややもすると耳を通り過ぎていってしまうんですが、「Webb City」なんかの躍動的な音を聴いていると、やはり只事ではない迫り方をしてきてとてもグッときます。
「The Breeze And I」のちょっとトロピカルな風合いの演奏もなかなかいいですね。洒落てるんだな、アート・ペッパーは。かと思えば「Surf Ride」なんかはまた勢いのあるスピーディーな演奏で、この人は非常に緩急のある音楽を鳴らしているように感じます。
ピアノがカール・パーキンスというのもポイントで、以前聴いた止まらない演奏をまた思い出しました。アート・ペッパーの幾分知的な演奏と相俟って、実は結構肉感的な演奏を繰り広げるこの時期の音は、もうちょっと掘っていっても良さそうです。