平沢進『時空の水』


89年リリースの平沢進ソロ1作目。平沢進の作品は『サイエンスの幽霊』『バーチュアル・ラビット』についてはリアルタイムで聴いていましたし、P-モデルの『カルカドル』『ワン・パターン』も折に触れて聴いていたので、この1stがミッシング・リンクでした。

 

タイトルの印象から静かな音楽を予想していましたが、確かにタイトル曲は静かなインストであったものの、全体的には平沢節全開。前後の作風を考えれば当たり前かもしれませんが、少し意表をつかれました。

 

平沢進の作品は部分的にコミカルなところや大仰なところもあるので、なかなか一筋縄ではいかないんですが、必ずキラー・チューンが入っているのが特徴です。この作品でいえば「フローズン・ビーチ」がそれにあたると思います。この無国籍な感じとビートの気持ちよさ、奥行きを感じる音やメロディが非常にいい。こうした楽曲があるから見逃せないんですね。

 

若干世代的にはノスタルジックに感じてしまう部分もあり、かつて友人と一緒に一度だけライブを観に行ったことを思い出してしまいますが、不思議と古さがない音だと思います。それからやっぱり仕掛けが複雑ですね。