坂本龍一『Year Book 2005-2014』disc 1


もう少し追悼を続けます。こちらは2015年にリリースされた未発表音源集。80年代のYear Bookは入手して聴きましたが、他のタイトルには手が伸びていなかったので、ここも配信でフォローできました。

 

様々な追悼番組がその後も続いていて、その中でも群を抜いているのは大友良英さんのラジオ番組だと思います。今朝も昨晩の放送を聴きましたが非常に熱意があって愛情がこもっていていい番組でした。小山田圭吾さんの問題にも触れていて、つくづくバランス感覚のある方だと感じています。

 

そんな中で今聴いているこの1枚目は思い切り環境音楽アンビエント、静謐。ゼロ年代の初期は坂本さんの活動の大半をコラボレーションが占めていて、アルヴァ・ノトやクリスチャン・フェネスなどとの環境ノイズにピアノの音を絡めていくような果てしなく静かな作品がリリースされていました。この1枚目もその感覚が濃厚で、ただ聴いているとその世界観に飲み込まれそうになります。

 

ただ、不思議と退屈にならずに聴けるのは背景にヒリヒリとした音の断片や変化する風景、あくまでも静かなピアノの音が置かれているからだと思います。ここに興奮を求めるのではなく思索を巡らせること。あるいはただひたすらに耳を傾けることで自らの立つ地平を噛み締めること。そんな風に感じながら音を聴いています。