ゴンチチ『冬の日本人』

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86年リリースのゴンチチ。5作目となります。

 

初期のゴンチチを聴き直していたのは、思い返せば自分の耳がジャズ方面に向かっている兆候だったのでしょう。その後ジャズのラジオ番組に出会って、様々な作品を聴き始めたのが昨年くらいからですが、ゴンチチの聴き返しはしばらくご無沙汰していました。

 

初期のゴンチチの音はアコースティック・ギターのバックに松浦雅也の電子音が鳴っているパターンが多いですが、この涼しげな感じの音が何とも言えない爽快感、爽やかさを醸し出しています。楽園の音楽なんだけれどもベタつかない。

 

この作品でも知っている曲が多いかと思っていましたが、ほとんどが初めて聴く曲でした。しかし一番びっくりしたのは「種明かし」という曲のオリジナル・バージョンです。この曲はかつてWOWOWで放送されたゴンチチの番組で、車をバックに道に座ってゴンチチのお二人が演奏する軽快な演奏が印象的だったんですが、原曲はこんなにゆったりとしていたなんて。アレンジで楽曲は本当に変化しますね。

 

ゴンチチから50年代のジャズに自分の耳が繋がって行った訳ですが、ゴンチチはジャズとは違います。しかし、演奏の熱量にはジャズに通じるものがあるし、自分もそこに惹かれ続けているんだと思います。聴いて心地いいだけではない、演奏家としての魅力。ここが唯一無二の不思議なユニットとして独特の存在になっているのではないかと思います。