サム・ゲンデル『Satin Doll』

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細野晴臣のラジオ番組「Daisy Holiday」を聴いていると、このサム・ゲンデルの話がよく出てきます。ゲストにくる方の最近聴いている音楽でも頻繁に名前が出るので、細野さんも「みんな聴いてるな」などと発言されている。

 

本作は昨年リリースされた作品ですが、ピーター・バラカンの番組でも紹介されたりしていたので耳にはしていました。不思議な音像で、ぼやっとした音と不思議なビートがどこかコロナ禍の現在に合っているように思います。

 

「Stardust」や「Freddie Freeloader」といったジャズのスタンダードのカバーもあったりして、プレーヤーとしてはジャズ系から出てきたような感じもしますが、音の方はトム・ミッシュやサンダーキャットのような新しいソウル・ミュージックの部類に入る感覚です。この辺りは本当にアメーバ状に広がってきていますね。

 

真剣に耳を傾けるというよりも流して聴いている方が向いているかもしれません。こうした音楽がどんどん試し聴きできるのはサブスクならでは。やっぱり古くは貸しレコード、レンタルCDのような感覚なんだなあ。

 

レコメンドが出たり、楽曲単位で感覚的にピンポイントで聴いたり、といったこれまでDigして聴き進めていった聴き方ではないスタイルが広がっているようですが、その辺りもラジオ的なように感じます。メディアとして本来の音楽の聴き方に戻っている。落合陽一もそんな風に言っていました。ただラジオと違うのは意外性、偶然性がなくなってしまうということですね。そこは少しリスクがありそうです。