こちらも02年のリリース。どうも21世紀になってからの作品群に耳が届いていなかったことが分かってきました。
リリース形態も特殊なもので、雑誌『ソトコト』のDVDブックのサウンドトラック、という変化球的な位置付けの作品となります。02年の初頭に坂本龍一さんはこの企画でアフリカに出向き、そこで人類の起源を探る試みを行います。そこでモチーフとなったのが象でした。
様々な活動をしている中で、21世紀初頭の活動はどこか脈絡のないものを感じてしまいますが、映画音楽同様入ってきた話を次々とこなしていくパワーの賜物なのかもしれない。全てに真摯に向き合う方なので、結果的にとっ散らかっているようにも見受けられますが、根底では一貫していてここでも「音」がテーマとなっています。
アフリカでフィールド・レコーディングした音を主体に音楽を作っているので部族の声や歌、リズムが中心になっているのかと想像していましたが、その要素よりも全体を包むシンセの音やピアノの響きが立っていて、印象はやはり静謐なものを感じさせます。これはもうスタイルなので良し悪しとは別。そしてそれでいいと思います。