吉田美奈子『FLAPPER』


ここから吉田美奈子の固め聴きに行きたいと思います。まずは76年リリースの3rd。こちらは買い直しました。

 

とにかく総力戦で臨んでいる作品で、「ラムはお好き?」と「夢で逢えたら」の2曲で細野晴臣大滝詠一の揃い踏みがなされています。しかしながら結構グルーヴィーでいい曲を書いているのは佐藤博だったりします。後半2曲では山下達郎も登場。矢野顕子の曲もグルーヴのあるリフが印象的です。

 

この辺りの豪華メンバーを揃える感じは今月蔵出しとなるリンダ・キャリエールの作品にも似た振る舞いのように思います。プロデュースが村井邦彦なので、やはりこれはアルファのマジックなんでしょう。しかしこの作品も76年。この当時のまだ世に出ていないミュージシャン達の沸々としたパワーというのは一体何だったんでしょうか。

 

キャラメル・ママ、ティン・パン・アレイ界隈だけではなくてナイアガラもあったしムーンライダーズもいた。大元ははっぴいえんどなんでしょうが、その遺伝子が70年代にこうして花開いた(まだ売れてはいませんが)というのは時代のせいでもあるように思います。70年代の海外の音楽の成熟度、SSWやファンクの動きが遠く離れた日本で独自に進化した。その結実が半世紀経ってシティポップの名の下に今まさに輸出中、という話。これは息が長い。

 

その象徴のような本作は改めて聴くとまるで魔法のようで、ずっと聴き込んでこなかったことを後悔しています。というよりこれから聴いていけばいいんですね。