トーキング・ヘッズ『フィア・オブ・ミュージック』

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79年作のトーキング・ヘッズ3rd。メタモルフォーゼの過程を見るようだ。シリアスさが頭をもたげてくる。

恐らく、一番ニューウェーブっぽいアルバムなんじゃないだろうか。キーボードの音やエコーのかけかた、意外と基本的なリズム。俄に実験性も帯びていて、ブライアン・イーノ大爆発、といった感じだ。冒頭の『イ・ズィンブラ』こそポリリズムを思わせるとはいえ、『エレクトリック・ギター』の脱力した感覚はデヴィッド・ボウイのようだし、ラストの『ドラッグス』はヨーロッパ的な陰鬱さを醸し出している。『アニマルズ』なんかもコミカルで変な曲だが、鬼気迫る怖さを内包している。気楽に聴ける雰囲気ではない迫力を後半に至るにつれて突きつけてくる。音はタイトな上、鋭い切れ味も伴う。でも『シティーズ』なんかは整理された混沌具合が好きだなあ。

コミカルな雰囲気から一転、狂気へ。