『ベアズヴィル・ボックス』disc 3

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最近はロックが本格的にオヤジの音楽になってきたと感じることが多い。ビートルズのリマスターもそうだし、会社で話していても話が弾むのは40代のおっさんばかりだ。ディスクユニオンで熱心にCDを漁っているのもおじさんばっかりだ。

このボックスの3枚目ではレーベルのドル箱だったというフォガットの曲が多く収録されているが、ブギ・ロックと呼ばれる比較的うるさめの曲群を聴いていると何か違和感が残る。ベアズヴィル=ウッドストックという図式が強いので固定観念が邪魔するのかもしれないが、やっぱり他の曲と比べても質感は異質だ。

ラスカルズのフレックス・キャバリエの曲も予想に反してロックっぽかった。でも5曲目の『Love Came』はローラ・ニーロとのデュエットだ。こりゃええわな。その他、UTOPIAの曲も『アナザー・ライヴ』から2曲収められている。

それにしてもレーベル創始者アルバートグロスマンという人は凄い人だ。ボブ・ディランジャニス・ジョプリンザ・バンドといったお歴々のマネジメントを手がけて、ウッドストックの近隣ベアズヴィルに移り住んでからは田舎から良質な音楽発信拠点をつくる。ウッドストックのフェスティバルが行われたのもアルバートグロスマンが別荘を構えたからなんだって。よくIT企業が田舎の環境のいいところに拠点を構えて、自然に触れながらプログラミングに没頭するなんていう話を聞くが、音楽の場合もまさにそうした環境の力がプラスに作用することがあるんだろう。じゃなければザ・バンドみたいな特異なグループがあの時代に出て来るなんてことはなかったんだろうし。すっかりロック、サイケデリックの嵐が吹き荒れていた頃の60年代末に『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』ですからね。ザ・バンドに田舎に籠るのをすすめたのもアルバートグロスマンなんだそうだ。

3枚目のこのディスクも後半は落ち着いてきて、若干スウィートソウル風の曲も出てきたりする。それにしたって20曲でほぼ80分。きちっと聴くのは大変だ。これは通勤でiPODで聴くのが適しているが、まだ曲名がアップされてないんだよなあ。誰かやってくれないかなあ。