最後!
85年に事実上休止したベアズヴィル・レコードの最後期を収めたこのディスクには70年代後半から80年代前半の音源が並ぶが、若干失速気味なのは否めない。それでもベアズヴィルで一番ヒットしたというランディ・ヴァンウォーマーの曲はさすがに自分も聞いたことがあった。
邦題『アメリカン・モーニング』という曲で、CM曲でも流れてましたよね。これがベアズヴィルだっていうのは知らなかった。バックでギターを弾いているのはピーター・バラカン氏の弟さんなんだそうだ。
UTOPIAのロジャー・パウエルのソロも中盤に2曲。実験作という話だったので手を伸ばさずにいたが、意外に面白い。『Landmark』なんかは結構色艶のある感じで、曲として成り立っている。というより電子音楽一辺倒で楽曲主体じゃないイメージがあったので、意外な感じがしたのかもしれない。
4枚目はやっぱり80年代の音がしてしまって、ちょっと古臭く聴こえるところもある。トッド・ラングレンのUTOPIAでいえば後期の産業ロック風なイメージ。最近はそうは言ってもやっぱり好きだったりもする訳だが、パッと聴きの印象が悪い感じ。
やはりそういう意味では初期の温かみのある音源が真骨頂で味わいがいがあるんだろうと思う。その後何度も聴きたくなるのは1枚目に入っているラザラスだったりするし。先日のフリート・フォクシーズではないが、やはり今は静かでアコースティックな「いい曲」が時代に合うんじゃないかと思う。恐らくこのボックスを発売当時の96年に聴いて自分の耳に響いたかどうかは疑問だ。こじつけのようだが、今だから入ってくる音、という側面もあるような気がする。気のせいかなあ。
とりあえず4枚組それぞれ20曲以上80分未満、という圧倒的ボリュームの割にスッと聴けたボックスだった。これからスルメのように味わっていく予定です。