WORLD HAPPINESS 2010

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行ってきました。まずは疲れた!行きと帰りの行列で相当体力を奪われてしまう。第1回目の楽な感じが懐かしい。でも、天気は今年も日が陰って途中で雨がパラついたりして絶好。ほんとに天候に恵まれるイベントだ。

さて、肝心の内容の方だが、まず異彩を放っていたのはCoccoだ。恐ろしい眼と痩せた傷だらけの腕で天空を睨みつけながら歌う。強烈なインパクトがあったが、歌は素晴らしかった。なかなか見れないものを見た。一切MCなしでいくのかと思ったが、何とか言葉を捻り出して挨拶をしていた。観客も圧倒されていたと思う。

pupaは無難な演奏。3回目で大分安定してきているのか、演奏にも余裕を感じた。しかし、低音が出過ぎていてちょっとバランスが悪かったのが残念。『Anywhere』なんかは原田知世が可哀想だった。その原田知世は相変わらず可愛くて、赤いタイツが印象的なコスチューム。ほんとに同年代とは思えないなあ。

ムーンライダーズは夕方の絶好の時間帯に登場。傾いていく日差しの中、ジャム・セッションのようにいつの間にか演奏が始まるオープニングはまるではちみつぱいのようで、そこから『くれない埠頭』になっていく様が圧巻。途中から小島麻由美のゲストで『ゲゲゲの女房』の主題歌を初披露していた。そのままラストの『マスカット・ココナツ・バナナ・メロン』まで続くが、去年の元気なステージと違って今年は70年代の再演を感じさせるステージだった。ある意味これは外向きじゃないな。

大穴はサカナクション。これは良かった。一生懸命演奏していて微笑ましい上に、ポップなメロディに時折ハッとさせる展開が折り重なり侮れない。劇団ひとりみたいなボーカルのエネルギーの強さを感じたし、メンバーの演奏力も確かで、かつバラエティに富んでいる。あの演奏はかなりの割合で観客も認めていたんじゃないだろうか。

ラス前のプラスチックスは、それ以上でもそれ以下でもない内容で、時間が80年で止まっているかのようだった。中西俊夫はきたろうみたいで、キッチュな雰囲気はお笑い芸人のようだ。人を喰った雰囲気が真骨頂なんだろうが、あまり好きではないので世間が騒ぐ程伝説感は感じなかった。でもこのチープなリズムで最後までグイグイ持ってってしまうパワーは独特。久々に動く立花ハジメを見た。ラス前は東京ブラボー、相対性理論プラスチックスと存在自体が貴重なグループを配してくるが、自分にはどれもピンと来ないものが多い。

最後はYMO。今年もサプライズが多かった。『Lotus Love』で始まるのは意表を突かれたが、東京シャイネスで細野晴臣が再演しているので流れとしてはありだろう。緩やかな演奏と暖かいボーカルでとてもいい。その後『Day Tripper』というのもびっくり!アレンジは当時のものを継承していて、かつ生楽器主体なので、迫力があった。

前評判通り『体操』も演奏。拡声器を使って坂本龍一が声を上げ、体操服を着た男性2名がフロントで踊る構成はウィンター・ライブそのままだ。「ここまでサービスするのか・・」とその時思った。『Behind The Mask』まで演奏してくれた。イントロで一番観客が沸いた曲。アレンジもオリジナルに忠実で、本当に80年代を再現しているかのよう。セットリストを見ると11曲も演奏してるんですね。凄いなあ。

http://www.studiovoice.jp/blog/svo/2010/08/yellow-magic-orchestra-with-gu.html

YMOがここまでサービス過剰になるということは何か嫌な予感がする。この編成での新展開を常に模索していくという姿勢が、逆にレイドバックだとするなら、今回のサービス過剰は世間へのお土産なんじゃないか。もしかしてこれでWORLD HAPPINESSも一区切りなんじゃないかと勘ぐってしまう。メジャーであることよりもオルタナティブを好むアーティストなので、ど真ん中路線は続かないし続けないだろう。それがちょっと不安になったステージではあった。心地良く懐メロを・・なんて似合わないだろう。

ただ、生楽器への回帰での新展開はまだ期待できる。老人力で今の自分達にしか出せない音を奏でる、というのが昨今のテーマなので、この辺に期待したい。坂本龍一が熱心にピアノを弾いていたのが印象に残った。