ビート・クラブVOL3 1970-1972 Disc 8

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そしてビートクラブも終焉を迎えた。何かすべてが終わっていくかのようだ。

今回はまずカントリー&ウェスタン特集みたいな趣旨の回から始まる。バーズ、マナサス、ときてJTだ。録りためていた映像を放出するかのようなその振る舞いは終りの始まりを予感させるが、音楽自体は耳にしっかり届く。緩いけどカッコいいよね。スティーヴン・スティルスの「次何やる?」みたいなやりとりは誠に素敵で、日本でいうと羽村や狭山にいるような感覚にさせてくれる。まあ『HOSONO HOUSE』ですね。

それにしても貴重な映像満載の刺激的なボックスだった。これVOL2もいくかな。それよりミュージック・ラーデンの映像化を切に望む。ビートクラブ終了後更に90回もやったそうだから70年代のその後の動きをつぶさに観ていくことができるはずだ。リトル・フィートも出てるし、果てはホール&オーツまで来てしまうという。今回の売上次第かもしれないが、何とか生きてる内にやってほしいものだ。

ジェームス・テイラーのライブ映像にもぶっ飛んだ。もしや・・と思ったらコーラスはキャロル・キングだし、チャールズ・ラーキーからダニー・コーチマー、ラス・カンケルといった見慣れた名前が動いて演奏している。ああ、この辺はいい時代だったんだな。参りました。

で、フロ&エディだ。ザッパのバンドで唯一コミカルで演劇的要素をもった比較的明るい時期を支えたコンビはその後T.レックスにも彩りを添えるが、そのコーラスの裏でドラムを叩くエイズリー・ダンバー、これは強烈だ。時折腕をクロスさせるその超絶プレイはまさに失神もの。何度も観ましたよ、これも。

 

その後に続くのがキング・クリムゾン。こいつも強烈。『太陽と戦慄』をやっているがまずは映像が残っていること自体が奇跡なんだそうだ。演奏は比較的コンパクトに終わってしまうが、ビル・ブラッフォードの叩き出すリズムの緻密さと既に神の領域に達している感のあるロバート・フリップのギター。これにどう見ても異常としか見えないパーカッションの奇行が絡んでいく様は観ていて爽快で、交響曲のよう。それにしてもプログレとジャズ・ロックにあまり境はないし、70年代初頭の混沌はありとあらゆる音楽形態を飲み込んで進化していたんだな、と実感させる。もうロックなんてもんじゃないよな、この静けさは。キング・クリムゾンはいつか本気で聴き込んでいかないといかんなあ。

ということでこの後アリス・クーパーとか色々続くが、もうこの時点で見終わったようなもんだ。(あ、でもマイク・ハグはトッド・ラングレンみたいで良かったですよ。)物凄く充実したボックスだったので、VOL2も本気で金策に走ろうかと算段中。そうすれば幸せな正月がやってくる。