キング・クリムゾン『On (and off) The Road』『Discipline』

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キング・クリムゾンンの80年代ボックスが出ました。何と19枚組ということで、一瞬迷った末に輸入盤を手にしました。それにしても物凄いボリューム。キング・クリムゾンが好きになってしまった人は本当に大変ですね。すべての時期を網羅するかどうかはさておき、このリリース量はやはり半端ではありません。

自分がキング・クリムゾンに初めて魅力を感じたのはポッパーズMTVで84年来日公演の映像を観た時になりますが、その後初めて手にとったのはこの『Discipline』でした。冒頭の「Elephant Talk」こそ聴きやすいですが、全般的にはやはりプログレ臭が漂っていて、当時の自分の耳には遠く聴こえました。とはいえ、その後も折に触れよく聴くアルバムですし、タイトル曲等は本当に聴き込みました。この数学的な展開がたまらない。「Frame By Frame」はCM曲選定の参考として広告代理店に提示したこともあります。結果的に思ったようにはなりませんでしたが・・。

ティーヴン・ウィルソンのリミックスは初めて聴きましたが、細部で目立たせる音の選択が若干変わっていますね。基本的にはやはり5.1chで味わってみたいものですが、何分システムが自宅にないので、いずれ揃えた際の楽しみにとっておくしかありません。

80年代クリムゾンへの風当たりの強さは自分のような80年代から入った後追いリスナーには知る由もありませんが、しばらく前に70年代初頭へ遡った際に感じた感触を思い出して80年代の姿に接すると多少は見えて来るものがあります。やはりエイドリアン・ブリューの圧倒的に明るい所作と、演劇性の強いパフォーマンスがわざとらしく映ったんじゃないかと思います。基本的には職人集団ですし、ロバート・フリップのように冷静に取り組むこともできたんでしょうが、本人の性がそれを許さない。きっとバンド内でのアイデンティティ確立にも苦労したでしょうし、その矛盾が詞や振る舞いに出たんでしょうから、結果的にパフォーマンスが70年代初頭のクールな佇まいから離れて硬派から軟派へ移行したように見えたんでしょうね。

まあでも自分はこのポリリズムが好きだし、端的に音楽として面白くて、かつテクニックも凄いので、シンプルに楽しんでいます。