02年リリースのセルフカバー&セルフプロデュース作品。こちらも基本的に地味な作品です。セルフカバー集はその後も『SONG BOOK』がありますが、キリンジというアーティストは楽曲提供が多いのも特徴です。
藤井隆に提供した「代官山エレジー」が密かに良い曲ですが、後はあまり印象に残っていない。前作からの渋めの路線がここに行き着いて、さてこれからどうなる、と思いましたが、事情としてはレコード会社との契約枚数が起因になっているようなので、次作では会社も変わって路線が少し変わっていきます。
ここまでの歩みは70年代の良質なポップスを現代に蘇らせる試みがある程度成功し、自らのイメージを塗り替えるべくアイデンティティの探求へ入りかける入口に立ったところまで、といった感じでしょうか。少なくとも兄弟ユニットですので、バンドの永続性はそこそこ保たれた、という軌跡だったのではないかと思います。