キング・クリムゾン『On (and off) The Road』『Are You Recording Gary?』

f:id:tyunne:20181105200822j:plain

「太陽と戦慄パート3」のセッションと、各アルバムのセッション音源を編集したトラックからなる未発表曲集です。ここまで来ると完全にマニア向けという感じがしてきますが、アルバムになじみが深いので左程抵抗なく聴くことが出来ます。BGMとしては良いかな。

しかし19枚組は多い。まるでお勉強のように聴き続けていますが、ここで80年代クリムゾンに思いを馳せる必要が果たしてどこにあるのか?理由なんてないかもしれませんが、ただ淡々と聴いているのも何なので考えてみたいと思います。

基本的には80年代作品はすべて発売から30年以上経っている訳で、さすがにもう過去の作品として捉えられる領域です。60年代、70年代は自分にとっても過去の音源ですが、80年代になってくると自分が音楽を真剣に聴き始めた時期と重なって来るので、懐かしさと記憶との結びつきが大きくなって、単純に過去とはいえなくなります。リアルタイム性が発生する。価値観の醸造期とも関わってきますね。

90年代がこれといって時代が進んだ感じがしないことも手伝って、80年代の音源が古びないように感じられてしまう点も大きいと思います。従って、個人としては親の庇護を受けていた安定した生活をベースに何も考えず享楽の中にいられたことを前提として考える価値観と、時代の流れがそこを起点に考えた時に進化があるか否か、といった視点、この双方から捉えていく必要があります。

よく考えるんですね。80年代に好きだった音楽が今も好きなのは自分が子供だったからであって、今になって同じ気持ちでいられるのか。それは人の世話になっていたから自由でいられただけで、シリアスさが足りない。無邪気に遊んでいられた気楽な感覚で時代と戯れていただけではないかと。そうしたことをさっ引いて今の価値観で再び聴いた時に当時の音源はどう響いて来るのか。今でも通用するのか。

そう考えると80年代の音楽もいくつかの分類に分かれると思います。