ムーンライダーズ『FINAL BANQUET 2016 〜最後の饗宴〜』disc 1

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丁度今、通勤中にムーンライダーズの楽曲をiPHONEのアーティストブラウズで聴いていたところでしたが、2016年の40周年のタイミングで活動休止の休止を行って開催された中野サンプラザのライブが発売されていたことは知りませんでした。FBのコミュニティで発売前日に知ったという体たらくです。

 

毎回ライダーズの場合は「何故このタイミングで出るの?」ということが多いですが、端的に自らのレコード会社で制作しているからなのか、いわゆるマーケティングが不在なのか。まあ既に独自のポジションを築いている、ということでしょうか。とりあえず無事作品化されて良かった。こうしたリリースはないと思っていたので、これは嬉しい裏切りでした。

 

最早2年以上前ですが、とにかく印象に残っているのは武川雅寛のドスの効いたかすれた声。大病から復帰後のステージでしたが、鬼気迫った声でとにかく恐ろしい。そしてこれがこのコンサートの契機となっていることは明らかでした。かしぶち哲郎に続いて武川雅寛も失ってしまいたくない。その前に記録を残しておきたい、という鈴木慶一の希求のようなものがこの活動を実現させている。冒頭の「マニアの受難」は意外な選曲でしたが、最初に絞り出された武川雅寛の声はそれはそれは恐ろしくて、ここで一気に聴き手を絞り込んでしまうと思います。普通の人は理解できないでしょう。

 

前半の選曲はとにかく若々しくて、80年前後の楽曲が踊るように繰り出されていきます。アレンジも工夫されていて現役感もたっぷり。それを安心ととっていいか、それともまさに最後の饗宴なのか。今から考えると次はない、という意味合いに近いですが、これまでも散々そうした終末観を提示しては復活するサイクルをいい意味で繰り返していますので、ちょっと安心して聴いているところです。