グリン・ジョンズのミックスによって一度は出来上がった『Get Back』。メンバーの判断でお蔵入りになって、その後フィル・スペクターの手によって作り直されて『Let It Be』となる訳ですが、こちらはそのグリン・ジョンズによる原型がそのまま収録されているディスクとなります。
初めて聴きましたが、かなりラフですね。『Let It Be Nakid』よりもラフ、というよりリリースされなかったのが妥当だと思います。元々このゲット・バック・セッション自体をパッケージ化しようという意図のもと制作された、という意味では正しい録音かもしれませんが、最終形を耳にした後に聴くとやはりアウトテイク集に聴こえてしまいます。
メンバーの会話の中から音が湧き上がってくる瞬間もあってそれはそれでスリリングですが、作品としてはラフ過ぎて、特に69年の時点でリリースできたかというと、ちょっと難しい。ビーチ・ボーイズの『パーティ』みたいな作品はあったにせよ、やっぱりこれは出せないだろうなあ、という感じがしてしまいます。
ポールのソロ「Teddy Boy」があったり、「Dig It」がロング・バージョンで収録されていたりとマニアックな楽しみ方はありますが、そこまでかな。