土屋昌巳『RICE MUSIC』

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82年リリースのソロ。これは懐かしい。貸しレコード屋で借りましたよ。
聴いた当時の印象は「ちょっと恥ずかしいな」というものだった。あからさまなアジア趣味がどうにも理解できなかった。もう少し隠し味にすればいいのに、と思ってその後手が遠のいた。これは先日書いた坂本龍一の『NEO GEO』にも言える訳で。でもそれより5年早いんだから、ある意味土屋昌巳には先見の明があったということかもしれない。
その坂本龍一が全面的に参加している『KAFKA』では、ドラムもベースも弾いていて声も坂本龍一の声だ。確か当時サウンドストリート土屋昌巳がゲスト出演したんじゃないかなあ。
デヴィッド・シルヴィアン以外のJAPANのメンバーが全員参加していて、まるでJAPANの関連商品みたいだ。
ボーナストラックに『すみれSeptember Love』が入っているが、何とリリースは1ヶ月違いなんですね。こちらの方は松武秀樹が参加していて、音の色合いは『春咲小紅』みたいだ。やっぱり軽い!
このアルバムは当時B面ばかり聴いていたが、A面のテイストは20数年経ってやっと腹に落ちてきた。いまでは沖縄を含めたアジア趣味は普通のことだし、その後の久保田麻琴とサンディーの功績によって、洗練ももたらされた。その先端を土屋昌巳が走れたのは、度重なる海外での仕事が影響しているんだろう。坂本龍一も言っていた通り、海外に出ると日本的なものを求められる訳だ。相手は当然日本人は日本の伝統に詳しいものと思って接してくるが、当の我々は欧米かぶれで左程自国のことに詳しくなかったりする。その反動が沖縄を含めて発信されてしまうのだ。その典型をこのアルバムの特に前半に見ることができる。
とはいえ、単純にクオリティは高かったんだな。あんまり古さを感じない。