高橋幸宏『A DAY IN THE NEXT LIFE』

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復活を遂げた91年作はニール・ヤングのカバーから始まる。

『震える惑星』なんて音も跳ねてていいですね。定番のウネウネギターも入ってるし。前作にも感じたが『What Me Worry』の頃に質感が似てるんですね、フレーズの使い方なんかが。いやあアイズレーじゃないけど90年代の高橋幸宏も侮れない。誤解してました。別に甘いだけじゃないんですね。

『愛はつよい』は最近カバーされてる『愛は勝つ』への皮肉なんだろうが、あの単純なメッセージに嫌気がさしてアンチテーゼを提示したくなるのはよく分かる。杏のカバーはそうはいっても声が綺麗で嫌いじゃないですけどね。KANは私も嫌だったなあ。能天気過ぎて。

ほんとに90年代は表面化する文化がパッとしなくて、音楽への興味を失いかけていた時期だった。でも裏ではクラブカルチャーの萌芽があったし、渋谷系も好調だったんで、都心にいれば色々と変化が見えたんだろう。当時自分は福島にいましたから。ネットもないので情報から断絶してたし、空気感も伝わらなかったんですね。まあネット時代になって益々地方との情報格差は広がっているという意見もあるし、福島の自然はそうはいっても好きだったんですが・・。

『空気吸うだけ』はライダーズ風の歌詞で笑っちゃうが、作詞は鈴木慶一ではないんですね。この辺の諦念はキリンジにもあるように思う。

 

『BETSU-NI』はスティーヴ・ジャンセンとのシングル『STAY CLOSE』にも入ってなかったっけ。大分印象が違うなあ。やっぱり80年代の音というのは独特でしたね。そこが90年代を誤解するきっかけだったようにも思う。Power Stationとか大嫌いでしたからね。ZTTは好きだったけど。この辺は『未来派野郎』への抵抗感にも感覚が似ていると思います。