細野晴臣『HoSoNoVa』

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出た!新作!渋い!

前作から4年ぶり。『HOSONO HOUSE』以来38年ぶりの全編ボーカルアルバム。ゲストも豪華。物腰は緩やか。ここへ来てこの充実ぶり。かつ帰還も意味する地に足の付いた音の数々。脱帽ですねえ。

徹子の部屋にも30年ぶりに出ていたが、お祖父さんのタイタニックの話と黒柳徹子の滑舌の悪さばかりが目立って圧倒されている御大の姿はちょっと苦々しかった。でもここで鳴っている音は存在自体が伝説的で、これから老いていく自分達と仕方のない毎日をそれでも懸命に生きていく強さとさりげなさを応援する不思議な感覚に満ちている。音から慈愛が滲み出てくるんだな。なんつっても鈴木茂のギターに尽きる気がするが、Coccoオノ・ヨーコヴァン・ダイク・パークスがさりげなく配置されていることも凄いことだ。決して威張ることなくそこにそっと置いてあるような、でも何かを語っているような音楽。

様々な世代に影響を与えている人だか、ここでの優しさはむしろこれから自分で何かを考えていくように諭しているようなある意味突き放したような強さがある。自分で考えろ、みたいな。でもそれは教えてくれているんだな。意味なんてないけれども次にバトンを渡していくような。

全編通して「これ」というような曲がある訳ではない。全体で雰囲気で奥行きで語っているメッセージは体の内側から働きかけてくるよく効く薬のような振る舞いを呈している。

いただきました。