ザ・ビートニクス『LAST TRAIN TO EXITOWN』

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来週発売予定の青山陽一の新作が決定的な名盤となりそうなのに興奮しつつ、失礼ながら地ならし的に聴いているビートニクス10年ぶりの新作。

WORLD HAPPINESSでライブを見ていたのである程度想像はついたが、とても落ち着いたメロディを奏でる円熟の音楽。ある意味90年代からほとんど変化してないんじゃないだろうか。ここ最近のYMOムーンライダーズの充実ぶりを反映して安定した曲づくりが行えているようだ。でも刺激はない。

という意味では逆に安心して聴けるということと同義で、『戸棚の中のグロテスク』『Around The Bends』等は好きな曲だ。それにしても二人は饒舌で、YouTubeに上がっている自らの曲解説などを見ていても少し喋り過ぎなんじゃないかと思ってしまう。こだわりや知識を語るのもいいが、それ以上におしゃべりが多い。仲良さそうだよなあ。でもこれっていいことなんだろうか?

メディアの発展で経緯やネタが簡単にダイレクトに発信できる社会。その中で失われるものは想像力だ。解説付きで背景まで知り尽くして聴く音楽なんてどうかと思う。これはビートニクスが悪いんじゃない。でも語りを聞いてしまうとつい「そこまでのものなの?」と思えてしまうのも事実。嬉しい反面ここが彼等の欠点でもあるのではないか。

もはや怒りは感じない、いつの間にか夢なんて見ない、Common Music。