ライ・クーダー『紫の峡谷』

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ここしばらく通勤中はハイラマズとステレオラブを交互に聴いていますが、その前はライ・クーダーザ・バンドを聴いていました。72年リリースのこの2ndは傑作と言われていたのでいつか聴かねばと思っていましたが、先日サクッと中古屋で発見。やっと聴くことが出来ました。それにしても渋い。

思った以上に芳醇な音で、70年代中期の名作群、『パラダイス・アンド・ランチ』や『チキン・スキン・ミュージック』を彷彿とさせます。間にある3rdがアコースティックな印象だったので初期は地味かな、と思っていたんですが、これはなかなか力強い。ジム・ケルトナーのドラムもずっしりと響きます。

聴いているとジェイムス・テイラーのような、あるいはヴァン・ダイク・パークスのような雰囲気もあり、かつ先日聴いたキンクスの『マスウェル・ヒルビリーズ』のようでもあります。共通点は皆70年代初期、ということでしょうか。ヴァン・ダイク・パークスは1stのプロデューサーでもありますし。そのヴァン・ダイクは今作では1曲だけピアノで参加していますが、それよりも参加していない6曲目の『Denomination Blues』の方がヴァン・ダイクっぽい気がします。

ラストの『Vigilant Man』でのスライドギターは凄い。本当に演奏がどの曲でもカッコよくて、痺れます。魔法のような音を出す人ですね。歌は朴訥としているんですが、演奏が鋭く斬り込んでくるので飽きさせません。長く聴けてかつ強烈な印象を残す渋い作品だと思います。