ジェイムス・テイラー『Mud Slide Slim』

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71年発表の3rd。大分売れたようですが、キャロル・キングの『You've Got a Friend』が入っているだけでは恐らくなくて、時代のムードと楽曲が同期したんでしょう。

基本的には前作の路線を引き継ぎつつ、よりバンド・サウンド色が強くなっています。この雰囲気はやはり70年代初頭のキャロル・キングの作品群と地続きですし、本作にも天使のような声で参加しているジョニ・ミッチェルなんかとも繋がっている。内省的にならずに明るく響いてくるところがポイントで、聴いているとはっぴいえんどとも共通点が見出せます。やたらと曲が短いのもびっくりしますが、これは次作の『One Man Dog』で頂点に達します。

セクションといわれる演奏家集団は最近話題のマッスルショールズやスタッフと合わせてキャラメル・ママの原形となっているので、一連の細野晴臣の活動の原点を見つめているような気分にもさせてくれます。やはり早い内に押さえておくべきだったと多少の後悔をしつつ、過ぎ行く夏に思いを馳せる、等というセンチメンタルなメンタリティを促進させてくれるいいアルバムでした。前作よりは長いですが、それでも37分でサクッと終わってしまうコンパクトな作品です。