ライラック・タイム『No Sad Songs』

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ライラック・タイムといえばアンディ・パートリッジがプロデュースで参加した『And Love For All』と相場が決まっている訳ですが、その後ソロ名義で発表された『I Love My Friends』なんかも折に触れて聴いてきたので、透明感のあるポップシンガーとしてスティーヴン・ダフィのことは記憶の片隅にありました。

今回ライラック・タイム名義としては14年ぶりの新作とのことですが、雑誌記事に「And Love For Allに少し近い」との文字を見つけてしまったので、やはり気になってしまいました。このバンドの場合、ポップな曲とアコースティックな静かな曲が同居していて、後者はネオアコとして語られてしまっているので若干薄味に感じる部分もあるんですが、それらは改めて聴くとなかなかに染み入って来るので、まあ大丈夫だろう、との思いで手にしました。

結果的にはとてもいいバランスで音が響いていて良かった。オーガニックな装いも多少あって、メロディも暗くならずに聴きやすい。後半M6からM8あたりの曲間なく続いていく流れなんかは非常に気持ちよく聴けました。季節的にも春に合いそうです。驚くような飛び道具はないですが、それは期待してもいけないし本人達にもその意図はないでしょう。ライラック・タイムのリスナーとしては部分的にしか聴けていない不届きなリスナーなので、過去音源もいつかきちんとフォローしてみたいと思います。