ジェリーフィッシュ『Spilt Milk (Deluxe Edition)』

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やっと年末年始休暇に入りました。今年はえらい年だった。ということでジェリーフィッシュの93年リリースの2ndにしてラストアルバム。ここではもう完全に後期XTC的な構築型、箱庭ポップが展開されて、スティーリー・ダンの『ガウチョ』よろしく息苦しい音が鳴っています。これをよしとするか否かでジェリーフィッシュの評価は二分されると思いますが、当時こうしたバンドが少なかったので、可能であればもう少し長続きして欲しかった。でもきっとアンディ・スターマーの完璧主義にみんなついて行けなかったんでしょう。解散は必然でしょうね。

ボーナストラックで収録されている未発表曲のデモがどれも良くて、完全にこの頃にはデモトラックの水準も高くしてしまう実力がついたんだな、と感心させられます。その後ロジャー・マニングはソロ作品を出していますが、アンディ・スターマーが新作をリリースしないのが非常に勿体無い。ここで燃え尽きる必要はないと思うんですが、本当に再結成はないんでしょうか。いつかあることを期待するしかないですね。

ジェリーフィッシュに対するその後の狂騒はパワーポップへに対する世の中の渇望と幻想、そしてビジネスの可能性がないまぜになって永遠に転がり続けるような気がします。不思議なものですが、これはビートルズXTCに対する世の中の反応と一緒で、やはり一定の需要がある音楽なんだろうと思うんです。そこに答えられる貴重な才能だっただけに、もう少し記録を残して欲しかった。そんな風に思ったりします。