カーネーション『Long Time Traveller』

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来週の野音に向けて予習の意味も込めてカーネーションのベスト盤を購入しました。35周年ということで、ご本人達はそんなに重く考えたくないと仰っておりましたが、何と言っても四半世紀以上に渡って続いているのは素晴らしい。

ここ最近、やたらと10周年、20周年と周年もののバンドが続いていますが、それは平成が30年経って終わろうとしている中で、まさに字の如く時代が「フラット」になっているからだ、という説があります。のっぺりと何事もなく過ごしていたら20年バンドが続いていた。

かつては、例えばムーンライダーズが10年、20年、30年と続いて周年イベントを行うことは大事件だったわけで、よくぞこんなに続いたものだ、と感慨深く本人たちもリスナーも感じていた。しかし今はそんな感覚はなくて、何となく過ごしていたらここまで来てしまった、特に時代の変動もないし、といったような感覚があるように思います。

震災もあったし原発もあったんですが、それでも平和にのっぺりと時代が過ぎて、緊張感なく持続する社会。前よりは危機感や絶望感、永遠性の欠如感はあるものの、やはり35年といっても重みはあるようでない。

それでも物理的に時間の量は多いわけで、カーネーションについていえば、その歴史はニューウェーブから男気のある骨太サウンドへ、といった感覚で捉えられるように思います。大好きな「十字路」が本盤にも収録されていますが、「答えが無きゃそれが答えだ」なんて凄い言葉をさらりと出してくるような渋い孤高のバンドになっている。ここにも音楽は刺激だけではない、という証左がありますね。

新曲2曲の出来も良くて、これは来週の野音が楽しみです。ゲストも沢山。記念碑のような1日になることを期待してやみません。